「脱出空域」を読んだから感想書く

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昨日の「脱出山脈」に続いて、今日はその続編の「脱出空域」の感想を書く。

あらすじは「テロの負傷者を乗せて離陸したパースンの操縦するC-5輸送機。離陸後に基地から届いた『高度を維持せよ。いかなる状況においても上昇及び下降を禁じる』というメッセージをきっかけに、その機に爆弾が仕掛けられたことが判明する。逃げ場のない空中で、機長のパースンは無事に着陸すべく必死に操縦する」といったもの。

 

局所での戦い、という点においては前作と本作は似ている。

でも本作は離陸後の航空機の中という局所も局所、完全に逃げ場のない環境で物語が進む。

なんだこれは、エキサイティングすぎる。

しかも、本作の敵は人間ではない。

敵は仕掛けられた爆弾と荒れ狂う自然、そして老朽化による不調を抱えた航空機。

そして負傷者を輸送中という条件まで抱えている。

この設定だけでも非常にスリリングな感じだ。

 

物語はパースン機長の操縦する航空機の中で進むとあって、本作ではパースンの能力が存分に発揮される。

本領発揮というやつだ。

その上、著者が元空軍の機関士というのもあって、その描写は他の小説と比べるまでもなく緻密で迫力があった。

荒れ狂う空の中を飛ぶ様子や、機体に生じる不調。

それらの様子が克明に描かれていて、航空機の知識なんて「翼があってエンジンがあって空を飛ぶデカい鉄の塊」程度の俺でもその様子がはっき分かる。

最悪の状態だ、というのが生々しく描かれている。

まさに空飛ぶ棺桶と言ったところだ。

この絶対絶命の航空機を果たして無事に生還させることができるのか?

最後まで気を抜けなかった。

 

そして、この機には前作でパースンの相棒を務めたパシュト語通訳のゴールドも乗り合わせている。

陸軍兵士のゴールドにとって航空機は専門外。

前作ではゴールドが通訳として、そして歩兵としての能力を発揮して主導していたように思えるけど、今後はパースンと立場が逆転したような感じだ。

乗客のゴールドにとって、空でできることは少ない。

そんな状況で、ゴールドは何を成すのか?

これも本作の楽しみ方のひとつだと思う。

本作でもゴールドはその言語スキルを十分に発揮して、アフガニスタン人の負傷者たちとコミュニケーションを取りながら、無事に着陸すべくパースンを始めとする乗員に協力して対応していく。

 

さて、前作と打って変わって、今作は空を舞台にした物語だった。

元機関士の著者の本領発揮とも言えるような非常に生々しい描写で、最初から最後まで余すところなく存分に楽しめた。

これは面白い。

そして次は、三作目の「脱出連峰」だ。

タイトルからなんとなく分かる通り、一作目と同じく山を舞台にした作品なのだけど、これについても折を見て感想を書きたい。