「邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき」を読んだから感想書く

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今回は珍しく日本の小説を読んだ。

「邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき」(著:伊藤祐靖)という本だ。

内容はタイトルから大体分かる通り人質救出系の内容で、「北朝鮮でクーデターが発生し、そのとき北朝鮮国内に拉致被害者がいることが判明。米軍が鎮圧のため爆撃を企てるなか自衛隊が救出に向かう」っていう感じになっている。

 

この小説が面白かったところは、アメリカの小説にありがちな銃をぶっ放す戦闘シーンではない。

戦闘シーンというよりは、それ以外の箇所がなかなか読みごたえがあった。

例えば、自衛隊出動を巡って政治家が意思決定をするシーンなんかは、凄く生々しい感じがした。

俺のような政治にあまり詳しくない人でも、自衛隊を実際に戦闘に派遣するためにはいろいろと面倒なことがあるというのはなんとなく分かると思う。

そしてこの面倒で複雑な場面こそが、本作の核心なんじゃないだろうかと俺は思った。

自衛隊派遣の意思決定をするシーンはまさに迫真だ。

非常事態に翻弄される政治家、非常事態を自分のキャリアに利用しようと企てようとする政治家、そしてそういった連中の元で現場で動くことになる自衛隊員、彼らの考えがぶつかり合う場面なんだけど、ここは元自衛官の著者が常日頃から感じていたことをフィクションとして表現したのではないかと思わずにはいられなかった。

これは一種の風刺作品かもしれない。

そして、そういった政治家連中に自衛隊の小隊長が、この派遣に対する覚悟を問いただすシーンはなかなか印象的だ。

なかなか腹を決めない政治家に「この救出の目的は何ですか」と迫る場面は、他の小説ではお目にかかることはできないような迫力がある。

今までに俺が読んできたアメリカなどの海外のこういった小説では、そういったシーンを見ることがそもそもなかった。

これは、いろいろな法制度やらなんやらでがんじがらめになっている日本の自衛隊であるからこそ描けたシーンなのかもしれない。

 

ということで、戦闘シーン以外の部分が結構面白くて読みごたえがあった。

上に書いたような政治の場面以外にも、作戦を立てている場面や人間の心理描写なんかもかなり緻密に描かれていると感じた。

そしてこれは冒険小説というよりは一種の政治劇に近い内容で、当初俺が思っていたようなものとは違っていたけど、それはそれでなかなか楽しむことができた。

読んでいて、政治やら安全保障やらに明るい人ならここからいろいろと考えさせられるのかもしれないな、とも思った。

あるいは、そういったものに詳しくない人が興味を持つきっかけになるのかもしれない。

まあそれはそれとして、俺としては鬼気迫る政治ドキュメンタリーとして楽しむことができた。

こういったのも、なかなか面白いね。