「不屈の弾道」を読んだから感想書く

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ちょっと前にスワガー・サーガと呼ばれるスナイパー小説シリーズを読み終えたのだけど、今度はまた新しいスナイパー小説シリーズを仕入れてきた。

「不屈の弾道」はその1作目だ。

 

あらすじは、拉致された海兵隊准将を救出するために送り込まれたチームの一人で、海兵隊屈指のスナイパーでもあるカイル・スワンソン一等軍曹がその救出作戦の裏に仕組まれた巧妙な罠に嵌められる、というもの。

あと、これはかなり序盤で明らかにされるから書いてしまうけど、この事件の黒幕は政府のお偉方と軍事企業のトップだ。

強大な権力と武力を持った敵に、わずかな仲間達とともに主人公が挑んでいく。

なかなか王道的なストーリーだった。

そして王道というだけあって、安定した面白さがある。

なんというか、スティーヴン・ハンターの「極大射程」と似ている感じがした。

「極大射程」も恐ろしいほどの力を持った組織が出てきてそれに主人公が挑む、という構図なのでよく似ている。

やっぱり、王道作品は安定して面白い。

 

ただ、本書の一番の特徴はアクション小説らしい面白さというよりは、物語の発想の斬新さにあると思った。

まず、本書が他の似たような冒険小説と違うと思ったのは、敵が国家でもテロリストでもないというところ。

今回の敵は企業だ。

ある企業がその利益のため、国家に反旗を翻すような内容になっている。

今までいろいろと似たような小説を読んできたけど、企業が黒幕でしかも国を相手に戦いをけしかける内容とはなかなか新しい。

最近のこういった小説では国vs国(軍vs軍とも言える)とか国vsテロリストみたいなものは多いけど、国vs企業のようなものはなかなか見ることがない。

これは新しい戦争の形だと思う。

 

また、発想の斬新さで言うともう1点ある。

それはハイテク技術を盛り込んでいる、という点だ。

本作の主人公が扱う武器はハイテク技術の結晶のようなスナイパーライフルで、スワガー・サーガなどのスナイパー小説の多くでは敵を撃つ前に人間が様々な機器を用いて距離や風などを測っていたのに対して、この武器はそういった計算のすべてを自動的にやってしまうという代物だ。

事実は分からないけど、現在の技術ならそういったものが現実にあってもおかしくはない。

割と最近のニュースで、ドローンが戦車を爆撃した、みたいなものを見たけど、現実と同じように小説の世界も進化していっているのがはっきりと感じられた。

これからはこういった最新技術が、小説での戦いの形も大きく変えていくのかもしれない。

 

こんな感じで、他の冒険小説とはちょっと違った味わいがある1冊でなかなか面白かった。

冒険小説における新しい道を切り開いた1冊だと思う。

もちろんそれだけでなく、基本的な話の展開も十分に楽しめるものだったし、特に主人公以外の登場人物の行動も同時並行的にしっかりと描かれることで緊迫感を感じられたのが良かった。

さて、冒頭に書いた通りこれはシリーズ物の1作目なのだけど、2作目も楽しみだ。