「ジャッカルの日」を読んだから感想書く

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今回は「ジャッカルの日」(著:フレデリック・フォーサイス)の感想を書く。

久々にスティーヴン・ハンター以外の作品を読んだよ。

今回はフレデリック・フォーサイスだ。

この著者は割と有名な著者なんだけど、俺は「キル・リスト」くらいしか読んだことない。

「キル・リスト」読んだ感じだと、フォーサイスはスパイ作品を描くのが得意らしい。

著者の経歴見ても記者とかそういう職業を辿ってきてるらしいから、なるほど、といった感じ。

 

さて、肝心の内容については「1963年のフランスで、大統領シャルル・ドゴールの暗殺のためにOASに雇われた"ジャッカル"というコードネームの暗殺者と彼を追うフランス司法警察のクロード・ルベルのマンハントを描いた作品」といったところ。

ざっくばらんに言うなら、「暗殺者と警察の戦いを描いた作品」と思ってくれれば良い。

あの手この手で警察の追っ手を撒こうとするジャッカルと、それでもなお追跡しようとするルベルの熾烈な戦いが面白かったのだけど、それはそれとして、俺は以前読んだある3つの小説(厳密には2つの小説と1つのシリーズ)のことを思い出さずにはいられなかった。

 

まず一つ目は「鷲は舞い降りた」。

これは第二次世界大戦を舞台にした小説で、ドイツ軍の降下猟兵部隊がイギリスの首相チャーチルの誘拐を企てるというお話。

この作品と「ジャッカルの日」の共通点は歴史上の人物を主軸に据えた作品ということ。

それぞれドゴールとチャーチルがターゲットにされる。

そして、史実を土台にしたフィクション作品ということで、それらの作戦が失敗するということも歴史上の事実からわかる。

ではなぜ、どうしてその作戦が失敗したか?

そこがこの2つの作品の面白いところになってくる。

両作品とも作戦の立案時点では成功の予感がするのだけど、途中でいろいろと計画とのずれが生じて、あれよあれよという間に作戦が瓦解して窮地に陥る。

そういったところに驚きながら楽しめる作品は、ありえたかもしれない歴史の1ページを舞台にした作品ならではだと思う。

ちなみに、この「鷲は舞い降りた」には「鷲は飛び立った」という続編があるのだけど、面白いと言えば面白いのだけどそちらはちょっと雰囲気が違うので今回は触れないでおくよ。

 

そして二つ目は、トム・ウッドという著者の暗殺者ヴィクターを主人公に据えた「パーフェクト・ハンター」、「ファイナル・ターゲット」というシリーズ。

こちらの共通点は、もう書いてしまったのだけど主人公が両者とも暗殺者ということ。

しかもどちらとも熟練で狡猾なプロフェッショナル中のプロフェッショナル。

そして正体が不明で、自分を抑える術を心得ているという共通点もある。

あの得体のしれない感じ、ジャッカルの様子を見ていて何度かヴィクターのことを思い出したよ。

でも、当たり前と言えば当たり前だけど、ジャッカルとヴィクターの間には違いがあって、それはジャッカルは時折自分の嗜好を表に出すということ。

「ジャッカルの日」では、折に触れてジャッカルがセレブ的な生活を楽しんでいる場面がある。

この"楽しんでいる"というのが重要で、こういったものはヴィクターにはなかった気がする。

ヴィクターはあくまでも機械のように常に冷静で感情を見せなかった。

もしかしたら俺がそういったシーンを忘れただけなのかもしれないけど。

ともあれ、そういったところから、なんとなく普段は機械のように振舞っているジャッカルの人間味みたいなのを垣間見ることができて面白かった。

登場人物の普段と違った一面が見られるのは面白い。

 

最後三つ目は「狙撃手のゲーム」。

これはこのブログに以前にも書いた。

d-nemuo.com

この「狙撃手のゲーム」の帯のコメントに「『ジャッカルの日』と並べおくべき一書。それほどに素晴らしい」とあったのだけど、「ジャッカルの日」を読んだ今、その理由が分かった気がする。

要は、物語の構成が似ているんだ。

「ジャッカルの日」ではルベルがジャッカルを追い、「狙撃手のゲーム」ではボブがジューバを追う。

どちらも手に汗握るマンハントを描いている。

違いはもちろんいろいろあるけど、読んでいて特に感じたのは戦闘シーンの有無だと思う。

「ジャッカルの日」はスパイ的なシーンがおおめだったけど、「狙撃手のゲーム」ではそういったシーン以外にも戦闘シーンも割とある。

激しさ基準で見るなら、「狙撃手のゲーム」のが上。

逆に、熾烈な頭脳戦を見たいなら「ジャッカルの日」という感じ。

あと、「ジャッカルの日」は人間的ないざこざもあって、スパイドキュメンタリーみたいな感じだった。

ルベルがフランスの各保安組織を代表して捜査を行うのだけど、それらの保安組織も一枚岩ではなくていろいろと組織間の政治みたいなのがあって、責任の押し付け合いやってるシーンとかはやっぱり人間だな、と思わされた。

あと、捜査に関わる一部の人の些細なミスのおかげでジャッカルを一瞬の差で取り逃がしてしまうシーンがところどころであるのだけど、そういったところに人間らしさがあって面白かった。

 

こんな感じで、「ジャッカルの日」を読んでいたらいくつかの作品を思い出したよ。

でも当たり前だけど、そのどれとも違って、本書ならではの味が出ていたのが良かったと思う。