「マスター・スナイパー」読んだから感想書く

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「マスター・スナイパー」(著:スティーヴン・ハンター)を読んだから、今回はその感想を書く。

著者はスワガー・サーガでおなじみのスティーヴン・ハンター。

そして本書は著者スティーヴン・ハンターの記念すべき初の著書。

 

読後まず思ったのは、やっぱハンターは銃器の小説家だね、ってこと。

彼の小説の主人公は人間だけではない。

というかむしろ銃器が主人公だ、と思わせるくらい銃器が物語の中心にある。

いや、もしかしたら、銃器とそれを取り巻く人々の物語、と言うべきかもしれない。

ハンターの作品の銃器には、単なる「道具」以上の役割が与えられていると感じる。

 

ともあれ、そういった点ではスワガー・サーガも本書「マスター・スナイパー」も同じだと思う。

銃器があって、それを扱う人がいて、物語がある。

ハンターの1作目である本書があってその後スワガー・サーガが生まれたことを考えると、これはスワガー・サーガの原点とも言える。

本書巻末の解説には「デビュー作にはその作家のエッセンスが詰まっている」というようなことが書かれていたけど、なるほど、と思えた。

確かにそういう雰囲気は感じられた。

 

と、著者の作風について延々と書いていても埒が明かないのでそろそろ内容についても書いていく。

「マスター・スナイパー」は第二次世界大戦末期(1945年1-5月くらい)を舞台にした作品で、敗戦間近のドイツが最後の大博打に打って出るという話。

その"大博打"が何なのかはネタバレになるので書かないけど、その作戦の主役として武装親衛隊中佐のレップが抜擢される。

あと、レップがこの作戦に使う特殊な銃も重要なキャラクターになってくる。

そしてひょんなことからこの作戦の存在を嗅ぎつけたイギリス人のアウスウェイスとアメリカ人のリーツがレップを追っていく。

それともう一人、収容所から脱走したシュムエルというユダヤ人も忘れてはいけない。

ひとつの銃と作戦を巡って、何人もの立場の違う人々の様子が描かれる。

 

上で少し触れたレップの使う特殊な銃が作戦の鍵になってくるのだけど、この特徴については結構早い段階で明かされる。

でも、肝心の作戦の内容については物語が終盤になるまで語られない。

そんな癖の強い銃を使って一体彼は何をする気だ?

それが気になって延々と読み続けてしまった。

大変な状況にも関わらず大量の予算と人員を割いてまで打って出るような作戦だ、恐らく、この状況を一発で逆転するような想像を超えた奇策に違いない。

だけど、一体、その奇策とは何だ?

 

そして、それはなかなか明かされないまま、様々な困難を潜り抜けてどことは知れない目的地に移動するレップが描かれる。

で、面白いのがこの移動シーンだったりする。

レップを追うアウスウェイスとリーツもその困難のひとつなんだけど、そのほかに移動中の彼の目の前に立ちはだかってくる敵にはドイツ兵も含まれる。

彼は仲間であるはずの武装親衛隊の人間と戦うことになる。

なんてことだ。

祖国のためには同胞すら敵となる。

なんと非情。

レップの心情はいかなるものだろうか?

泣けてくる。

 

そして、最後、遂に3人は対決する。

 

第二次世界大戦を舞台にしたものとあってスワガー・サーガよりは暗い印象の本書だったけど、スワガー・サーガにも通じるものもあったりしてなかなか面白った。

スワガー・サーガとはちょっと雰囲気違うけど、銃器とそれを巡る人々の戦いの物語を読みたい人にはおすすめ。

 

さて、次は何を読もうと思っていたら、「真夜中のデッド・リミット」が復刊したとの情報を発見。

www.fusosha.co.jp

よし、これは読むしかないな。